胡蝶蘭の育て方を解説!季節別のお手入れ方法も紹介
ビジネスシーンからプライベートまで、少し豪華なギフトとして「胡蝶蘭」を送る方も多いのではないでしょうか。胡蝶蘭はギフト用として広く流通していますが、適切な育て方は多くありません。
胡蝶蘭は適切に育てれば、50年以上も生きる植物です。コツさえ押さえれば、生育も難しくありません。この記事では、胡蝶蘭の育て方について、季節別のお手入れ方法と併せて紹介します。胡蝶蘭を長く楽しみたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
- 1. 胡蝶蘭とは?特性と基本情報について
- 1-1. 東南アジア原産の着生植物:自生地の環境を理解する
- 1-2. ビニールハウスでの管理:流通と環境適応
- 1-3. 胡蝶蘭の開花期間:本来の時期と流通品の特性
- 2. 胡蝶蘭の育て方【7つの重要ポイント】枯らさないための基礎知識
- 2-1. 【ポイント1】胡蝶蘭に最適な「置き場所」とは?
- 2-2. 【ポイント2】「水やり」の頻度と量:根腐れを防ぐコツ
- 2-3. 【ポイント3】「温度・湿度管理」:胡蝶蘭が好む環境を作る
- 2-4. 【ポイント4】葉や花の「日常のお手入れ」で健康を保つ
- 2-5. 【ポイント5】「鉢皿の管理」:水溜まりはNG!
- 2-6. 【ポイント6】「肥料」は必要?与えるタイミングと注意点
- 2-7. 【ポイント7】ギフトの「ラッピング」はすぐに外そう!
- 3. 季節別!胡蝶蘭のお手入れ方法と注意点
- 3-1. 春の胡蝶蘭ケア:活動期に向けた準備と植え替え
- 3-2. 夏の胡蝶蘭ケア:高温多湿と直射日光対策
- 3-3. 秋の胡蝶蘭ケア:冬越しに向けた体力温存
- 3-4. 冬の胡蝶蘭ケア:寒さ・乾燥対策の徹底
- 4. 胡蝶蘭の花が咲き終わったら?次の開花のための手入れ
- 4-1. お手入れ前の準備
- 4-2. 茎を切り、株を休ませる
- 4-3. 切った後のお手入れ方法
- 5. もう一度咲かせたい!胡蝶蘭の「2番花」を咲かせる方法とコツ
- 6. 胡蝶蘭のSOS!根腐れ・葉のトラブル・病害虫の対処法
- 6-1. 胡蝶蘭の根腐れの対処方法についての原因と対策
- 6-2. 葉のトラブル(葉焼け・変色など)の原因と対策
- 6-3. 胡蝶蘭によくある病気と害虫:予防と具体的な対処法
- 7. 胡蝶蘭の植え替え・株分けの詳しい手順とタイミング
- 8. 胡蝶蘭の育て方に関するQ&A
- 9. 胡蝶蘭の購入は種類豊富な「らんや」がおすすめ
1. 胡蝶蘭とは?特性と基本情報について
最初に胡蝶蘭の特徴について紹介します。
胡蝶蘭の原産地や生育されている環境を知ることで、日々の管理に役立ててみてください。

胡蝶蘭は、東南アジア原産の植物です。マレーシアやフィリピンなど亜熱帯地域に自生しており、高温多湿な環境を好みます。自生している胡蝶蘭は熱帯雨林の岩や樹木などに気根(きこん:茎や幹から空気中に伸ばされた根)を張っており、空気中の水分を吸収する着生蘭(ちゃくせいらん)の一種です。
胡蝶蘭の根は、自然界では土の中へ伸びることはありません。そのため、胡蝶蘭を育てる際は、自然界での状態を再現してあげる必要があります。胡蝶蘭の鉢植えに土ではなくウッドチップや水ゴケなど通気性のある素材が入れられているのは、気根がある鉢植え内部の通気性と湿度を自然界と近い状態に保つためです。
ビニールハウスでの管理:流通と環境適応

胡蝶蘭は亜熱帯が原産の植物なので、現地の環境に近い高温多湿のビニールハウスで管理されています。ビニールハウス内の温度は20℃から28℃、湿度は70%から80%に近い状態で、日光は遮光して適正量に調整されていることが特徴です。
とくに気温と湿度が下がる冬、日光が強力すぎる夏は、胡蝶蘭の管理が難しくなります。しかし、空調や遮光、水やりに優れた胡蝶蘭生産者が安定供給してくれるため、胡蝶蘭は一年間を通じて流通しています。
胡蝶蘭の開花期間:本来の時期と流通品の特性

胡蝶蘭の本来の開花時期は、春頃(3月から5月)です。しかし、贈答品として使用されることが多いことから、流通している胡蝶蘭の開花時期は通年入手できるよう調整されています。
2. 胡蝶蘭の育て方【7つの重要ポイント】枯らさないための基礎知識
胡蝶蘭を育てる際は、ここまで紹介した特徴をふまえて、次の7つのポイントを意識しましょう。
●育てる環境
●水やりの頻度
●温度・湿度管理
●花や葉のお手入れ
●鉢皿の管理
●肥料の必要性
●ギフトラッピングは取り外す
これらのポイントを押さえれば、胡蝶蘭を長く楽しめます。それぞれの詳細は次のとおりです。

胡蝶蘭を育てる環境としては、風通しがよく明るい室内が望ましいです。亜熱帯地域が原産地の胡蝶蘭にとって、日本の屋外は過酷な環境になってしまいます。気温が寒すぎても暑すぎでも胡蝶蘭にダメージを与えることになるので、直射日光の当たらない場所で育てましょう。
なお、扇風機やエアコンの風が直接あたることも避けた方がいいです。あくまで自然に風が抜けるような場所に置いてください。
【ポイント2】「水やり」の頻度と量:根腐れを防ぐコツ

胡蝶蘭は水を与えすぎると傷んでしまいます。根が呼吸できなくなり、根腐れの原因となるためです。水やり頻度は1週間から10日に1回で十分なので、適量を心がけましょう。
水やりの目安としては、鉢植えの水ゴケが乾いているかどうかを確認してください。湿り気がなくなっていれば、水やりのタイミングです。とくに寒い時期は根が弱りやすいので、水ゴケが十分に乾いてから水やりしてください。
【ポイント3】「温度・湿度管理」:胡蝶蘭が好む環境を作る

胡蝶蘭を育てる環境は、原産地の亜熱帯の温度・湿度を意識しましょう。とくに寒さには弱いので、冬季でも15度は保つことが重要です。また、乾燥しやすい時期は湿度にも気を付けてください。寒さ対策として暖房の近くに置くと、あっという間に乾燥してしまいます。
乾燥状態が続くと株が弱り、蕾が変色してしまうことも多いです。湿度は70%程度、最低でも50%を保てるよう、胡蝶蘭の周りで加湿器を稼働させるなど乾燥対策を施しましょう。
【ポイント4】葉や花の「日常のお手入れ」で健康を保つ

乾燥対策に付随して、葉や花にも霧吹きをすることもポイントです。湿度が50%を下回ってしまう場合などは、霧吹きで水分を補給してあげてください。葉の表側と裏側の両方に霧吹きで水をあげることで、冬場の生育環境を整えられます。
ただし、葉の根元などに水が溜まったままにすることは、株を傷める原因です。水が残っている場合は、ティッシュペーパーや柔らかい布で吸い取ってあげましょう。
また、生花店などは花や蕾に霧吹きすることもありますが、ご自宅で霧吹きする場合は水滴が残らないように注意しましょう。水滴が残ったままだと、シミの原因になります。
【ポイント5】「鉢皿の管理」:水溜まりはNG!

胡蝶蘭の鉢皿に水が溜まっていたら、必ず捨てるように気をつけましょう。胡蝶蘭の気根は通気性を必要とするため、鉢皿に水が溜まると根腐れの原因になります。とくに夏場はカビが発生することもあるので注意してください。
【ポイント6】「肥料」は必要?与えるタイミングと注意点

胡蝶蘭は自然界で少ない水分と養分で生育する植物なので、肥料は必須ではありません。胡蝶蘭の株が元気な状態であれば、少量の肥料を与えることで生育を促すことは可能です。ただし、弱っている状態で肥料を与えると、株のダメージになってしまいます。
肥料を与えるタイミングは、生育期の5月から9月の花が咲いていない間です。開花している間に肥料を与えると花が落ちてしまうことがあるので注意してください。
【ポイント7】ギフトの「ラッピング」はすぐに外そう!

お祝いなどで胡蝶蘭をもらったら、最初にギフトラッピングを外します。もったいないと感じる方もいるかもしれませんが、ラッピングを付けたままだと鉢の中が蒸れてしまうためです。
胡蝶蘭の根は通気性を求めます。そのため、ギフトラッピングは取り外して育てましょう。
3. 季節別!胡蝶蘭のお手入れ方法と注意点
ここからは、季節別に胡蝶蘭を育てるポイントを紹介します。それぞれの季節に注意すべきポイントがあるので、定期的にこのページを確認してみてください。
春の胡蝶蘭ケア:活動期に向けた準備と植え替え
春は暖かくなって来る季節ですが、朝晩は冷え込む時期でもあります。胡蝶蘭が温度変化で傷まないよう、置き場所には気をつけましょう。春は胡蝶蘭が生育期ではないので、水やりは鉢植えの水ゴケが乾いてから、コップ1杯程度の量(200ml)を与えるだけで十分です。頻度としては1週間に1回程度を目安としてください。また、胡蝶蘭を植え替える場合も、春がおすすめです。
夏の胡蝶蘭ケア:高温多湿と直射日光対策

夏は胡蝶蘭の生育期なので、水やりは2〜3日に1回、コップ2杯分(400ml〜500ml)程度を目安に与えてください。ただし、水の与えすぎは根腐れの原因になるので気をつけましょう。
また、夏の直射日光は胡蝶蘭の葉を傷めます。(いわゆる葉焼け)葉が寿命を迎えている場合は、葉の下側が変色します。一方、葉焼けの場合は場所に関わらず変色することが特徴です。胡蝶蘭の置き場所には気をつけましょう。
さらに夏に注意したいことは湿気です。梅雨時は過度な湿気に気をつけないと、根腐れの原因になります。一方、梅雨明け後はエアコンや扇風機の風による乾燥に注意しましょう。胡蝶蘭に肥料を与える場合、開花前の6月頃がおすすめです。洋ラン用の肥料をあげることで、成長を促せます。
秋の胡蝶蘭ケア:冬越しに向けた体力温存

秋は気温が下がり始める季節のため、株が弱りやすいです。春と同じく気温変化が激しいため、置き場所に注意してください。秋の水やり目安も、春と同様1週間に1回程度、コップ1杯程度の量(200ml)を意識しましょう。
秋にありがちな失敗は、夏のように胡蝶蘭の世話に手をかけすぎて、逆に株を弱らせてしまうことです。胡蝶蘭も夏の生育期を終えて疲労が溜まっているので、冬に向けて株の体力を温存しなければなりません。鉢を変えたり、肥料をあげたり、株の体力を奪うことは避けましょう。
冬の胡蝶蘭ケア:寒さ・乾燥対策の徹底

冬は当然、寒さに気を付けなければなりません。胡蝶蘭が枯れてしまわないように、最低でも10℃以上の場所に置いてください。室内でも朝晩の冷え込みで10℃以下になることはありますので、置き場所には要注意です。暖房の稼働が難しい場合は、鉢の周りを段ボールや毛布、ビニール袋で覆うことも考えましょう。
さらに、水やりの水が冷たすぎると株や根を傷める原因になります。水道水を使う場合も、20℃〜30℃くらいのぬるま湯で水やりしてください。冬場は胡蝶蘭の生育期から外れるので、水やり頻度は1ヶ月に1回程度で十分です。胡蝶蘭の根元の水ゴケが完全に乾いてから、コップ半分〜1杯程度(100ml〜200ml)の水をあげます。
乾燥しすぎを防ぐために、様子をみて霧吹きで水をかけてあげましょう。ビニール袋で胡蝶蘭を覆うと、低温だけでなく乾燥からも守れます。
4. 胡蝶蘭の花が咲き終わったら?次の開花のための手入れ
胡蝶蘭の花が咲き終わった後も、いくつか生育ポイントがあります。胡蝶蘭の株は上手に育てれば50年以上生きるので、花が咲き終わった後もお手入れしてあげてください。
お手入れ前の準備
まず、お手入れ前の準備として、ハサミを消毒します。ハサミに悪い菌がついていると、胡蝶蘭が病気になってしまうためです。消毒方法としては煮沸や消毒液が一般的ですが、家庭用漂白剤を100倍程度に薄めた液も使えます。また、火であぶっての消毒も簡単でおすすめです。
茎を切り、株を休ませる

花を咲かせることは、胡蝶蘭の株にとって大きな負担となります。そのため、花が咲き終わった後は茎を根元に近い部分で切り、株を休ませてあげましょう。ギフト用でもらう胡蝶蘭には支柱が設置されていることが多いですが、この支柱も外して問題ありません。
茎の節が残っていると、そこから芽が出てきてしまう場合があります。節が残らないよう、根元から5cm程度の位置で切ってください。茎を切ることで栄養が株に集まり、翌年以降も花を咲かせてくれます。
切った後のお手入れ方法

胡蝶蘭の茎を切った後も、それまでと同じく通気性や保湿性をキープして育てます。また、ギフトでもらう胡蝶蘭は、複数の株が1つにまとめられています。株を1つずつに分けると育てやすいので、植え替えタイミングとしても花が咲き終わったあとがおすすめです。
根が元気な株は、根鉢を崩さずにポットから株を抜き、新しい一回り大きなポットに植え替える「鉢上げ」をすると、根を痛めることなく株の成長を促せます。
一方、根腐れしそうなとき、株に元気がない場合は、株を取り出して根についている古いバークや水ゴケを除去します。その後、傷んでいる部分をハサミで切り取って健康な根だけを残したら、新しいバークや水ゴケをポットに入れて植え替えてあげましょう。
なお、植え替えタイミングとしては寒い時期をさけ、4月頃に行うのがいいとされています。
5. もう一度咲かせたい!胡蝶蘭の「2番花」を咲かせる方法とコツ


胡蝶蘭は2番花を咲かせることも可能です。(いわゆる二度咲き)通常、2番花は最初に咲いていた花よりも数が少なく、さらに小ぶりになります。
二度咲きを促すためには、花茎の節を3つ程度残して切り、「脇芽」を出さなければなりません。茎を切って株を休ませる場合は節を残さないようにカットしますが、すぐに花を咲かせたい場合は節を残すことがポイントです。また、2番花を咲かせるために茎をカットする場合も、ギフト用の胡蝶蘭に設置されている支柱は外して問題ありません。
なお、脇芽を出すためには気温20℃前後を維持する必要があります。そのため、通常よりも胡蝶蘭の置かれている環境に気を遣わなければなりません。
二度咲きは胡蝶蘭が置かれている環境によってもことなりますが、早ければ一か月程度で開花します。ただし、2番花を咲かせるためには、一度花を咲かせたことで消耗している株を元気にしなくてはなりません。葉の枚数が3枚〜5枚以上はないと、株への負担が多くなってしまいます。
ギフトでもらった胡蝶蘭は沢山の花を咲かせており、株が疲労している場合が多いです。2番花を咲かせる場合は、株を回復させた翌年以降の方がよいでしょう。
6.胡蝶蘭のSOS!根腐れ・葉のトラブル・病害虫の対処法

葉が張っていなかったり、色味が悪かったりする場合、根腐れしている可能性があります。胡蝶蘭が根腐れしてしまった場合は、その部分をハサミで取り除きます。(ハサミは消毒してください)腐った部分を除いた部分に合わせた大きさの鉢に植え替えれば、株が復活する場合もあります。
植え替えは先述したとおり春頃(4月頃)行うものですが、根腐れしてしまった場合はすぐに植え替えなければなりません。植え替え後は水の与えすぎに注意して、株の回復に努めます。そもそも根腐れしてしまったということは、それまで水を与えすぎていた可能性が高いです。植え替え後は株と根の通気性に気をつけ、水ゴケがしっかり乾いてから水やりするようにしましょう。

胡蝶蘭の根腐れの対処方法について、見分け方から植え替えまで詳しくご案内いたします。
【根腐れの見分け方】
1. 根の状態を確認 – 根を優しく取り出し、白くてしっかりした根は健康な証拠です。
変色(茶色や黒色)や柔らかくなっている根は根腐れの兆候です。根が腐っている部分は、ぬるぬるした粘着性や腐敗臭がすることもあります。
2. 葉や茎の様子 – 葉がしおれたり、変色したりしている場合も根腐れの影響かもしれません。
【根腐れの原因】
過剰な水や湿度が高すぎる状態
排水性の悪い土や鉢の水はけが悪い状態
根の乾燥不足や水やりのやりすぎ
【根腐れの対処方法】
【1. 根の除去】
根を優しく取り出し、腐っている部分を清潔なハサミや剪定ばさみで切り取ります。切り口は清潔なもので、できるだけ傷つけないように注意してください。
【2. 消毒と乾燥】
切り口は殺菌剤(例えば、消毒用アルコールや炭酸水素ナトリウム水溶液)で消毒します。根を風通しの良い場所で数時間乾燥させ、傷口を乾かします。
【3. 植え替え】
排水性の良い専用の胡蝶蘭用土や、バーミキュライトと軽石を混ぜた土を使用します。
鉢は通気性の良いものを選び、根が広がりやすいようにします。根を傷つけないように注意しながら、新しい土に植え付け

胡蝶蘭の葉のトラブル(葉焼けや変色など)の原因と対策について、詳しくご説明いたします。
【葉のトラブルの原因】
1. 葉焼け(葉のやけど) – 直射日光や強い太陽光に長時間当たることで、葉が焼けてしまいます。特に夏場の直射日光は要注意です。
2. 過剰な水やりや湿度の高すぎ – 葉の表面に水滴がついたまま長時間放置されると、葉焼けやカビの原因になります。
3. 低温や寒さ – 冷たい風や寒さにさらされると、葉が変色したり、しおれたりします。
4. 栄養不足や肥料の過剰 – 栄養バランスの乱れも葉の変色や弱化につながります。
5. 病気や害虫の感染 – うどんこ病やカイガラムシなどの害虫による被害も葉の変色や傷みの原因です。
【対策方法】
1. 適切な光量の管理 – 直射日光を避け、明るい間接光の場所に置きます。夏は遮光ネットやカーテン越しにするのがおすすめです。
2. 水やりと湿度の調整 – 土壌の乾燥を確認してから水やりを行い、葉に水滴がついたら拭き取るか乾かすようにします。湿度は適度に保ち、風通しの良い場所に置きましょう。
3. 温度管理 – 寒暖差の少ない場所に置き、冬は暖房器具の風や冷たい風を避けます。夜間の気温は15℃以上を保つと良いです。
4. 栄養管理】 – バランスの良い肥料を適量与え、過剰にならない
胡蝶蘭によくある病気と害虫:予防と具体的な対処法

胡蝶蘭によくある病気と害虫、その予防策と具体的な対処法についてご説明いたします。
【よくある病気と害虫】
1. 軟腐病
【症状】 軟腐病に感染すると栄養分の通り道が塞がれて、株全体が枯れてしまいます。
原因には細菌性と真菌性(カビ)の2種類があり、症状や対処方法が異なります。細菌性の場合は葉が黄色く半透明になり、独特の異臭を放つようになります。
ストレプトマイシンという抗生物質を塗って対処しますが、進行が早いため助けられないことの方が多いです。
真菌性の場合は進行が遅く、葉の表面に黒色や褐色の斑点が現れ、徐々に広がっていきます。
【対処法】
病気になっている部分から5ミリほど余分に切り落とし、周辺にペースト状に溶いたビスダイセンやMダイファーを塗りましょう。
いずれの場合も、他の傷口を通して他の胡蝶蘭に感染するので、軟腐病が疑われる株は他の場所に移すと安心です。
2. 葉焼け
【症状】 強い日光で葉が焼けた状態を、葉焼けといいます。葉が焦げたように黒くなったり、色素が抜けたように白っぽくなったりします。
【対処法】症状が現れたらすぐに日陰や室内に移動させ、様子をみましょう。弱った部分はウイルスに感染しやすいので、すぐに殺菌剤を散布するか、患部を切り落としてください。
7. 胡蝶蘭の植え替え・株分けの詳しい手順とタイミング
胡蝶蘭の植え替えと株分けの詳しい手順と適切なタイミングについてご説明いたします。
【植え替えのタイミング】
花後や休眠期(春や秋)が最適です。
花が終わった後や、葉の成長期に行うと、ストレスを最小限に抑えられます。
根の状態や土壌の劣化を確認したときも適宜行います。根腐れや土の劣化が見られる場合は早めに対処しましょう。
【植え替えの手順】
※1~5は共通手順になります。
1.ライターで刃先を炙って消毒
2.ポット、鉢から株を出す
3.ダメになっている根は引き抜く
4.水苔を取りながらほぐす
5.根の芯をハサミで切り落とす
A.水苔+素焼き鉢
6.残った根に苔を巻き付ける
7.新しい鉢に植え込む
8.完成
B.バーク+プラスチック鉢
6.鉢底にバークを敷く
7.鉢の中心に株を置き 周りにバークを入れる
完成
※植え替え後、1〜2ヶ月は水の回数を減らし、葉のツヤがなくなりかけたころに水を与えます。(10日〜15日位が目安)
8. 胡蝶蘭の育て方に関するQ&A
【Q1】胡蝶蘭の適切な置き場所はどこですか?
【A】直射日光を避け、明るい間接光の場所が理想的です。風通しの良い場所で、寒暖差の少ない場所を選びましょう。
【Q2】水やりの頻度はどれくらいですか?
【A】土壌が乾いたらたっぷりと水やりをします。冬は週に1回程度、夏は2〜3日に一度が目安です。ただし、根が湿りすぎないよう注意してください。
【Q3】肥料はどのように与えれば良いですか?
【A】月に1回程度、液体肥料を薄めて与えます。特に成長期(春〜夏)はしっかりと栄養を補給しましょう。
【Q4】花が咲かなくなった場合の対策は?
【A】適切な光と温度、栄養管理を見直し、十分な休眠期間を設けることが大切です。花芽がつきやすい環境を整えましょう。
【Q5】葉や根に異常が見られたらどうすれば良いですか?
【A】早めに原因を特定し、必要に応じて根の剪定や薬剤散布を行います。根腐れや病気の予防・対処が重要です。
9. 胡蝶蘭の購入は種類豊富な「らんや」がおすすめ

胡蝶蘭は取引先へのお祝いなどのビジネスシーンから、冠婚葬祭や誕生日プレゼントまで幅広いシーンで贈り物として使われます。あげる機会ももらう機会も多いでしょうから、この記事で紹介した適切な管理方法を実践してみてください。
とくに「水やり」と「置き場所」には注意してください。水をあげすぎたり、直射日光があたる場所に置いてしまったりすると、胡蝶蘭はすぐに傷んでしまいます。ギフト用でもらった時は、ラッピングを外すことも忘れないようにしましょう。
胡蝶蘭の花が咲き終わった後は、茎を切って株を休ませてあげてください。株が回復すれば、翌年以降も胡蝶蘭を楽しめます。
さて、そんなギフト用の胡蝶蘭を購入する際は、種類豊富な「らんや」がおすすめです。「らんや」は創業40年の胡蝶蘭専門店として、鮮度や品質にもこだわっています。胡蝶蘭は常時100鉢以上用意しているため、急なギフト需要にも対応可能です。
「らんや」のサービス詳細はこちらのページをご覧ください。
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有限会社黒臼洋蘭園 代表取締役社長 黒臼秀之
胡蝶蘭一筋40年以上。 世界屈指の胡蝶蘭専門家として、多数のメディア出演を果たす。 日本最大級の胡蝶蘭専門農園を経営しており、栽培している胡蝶蘭は農林水産大臣賞をはじめとする多数の表彰を受ける。 近年では胡蝶蘭文化の浸透の為、SNSを積極的に活用し、胡蝶蘭の栽培方法などを発信している。