胡蝶蘭の植替え:美しい花を育てるための手順や注意点も解説
胡蝶蘭は美しい花で、室内で育てることができます。 しかし、その美しさを維持するためには、適切な植替えが必要です。 本記事では、胡蝶蘭の植え替えについて、手順やタイミングなどの基本情報から、実践的なアドバイスまでをご紹介いたします。
目次
- 胡蝶蘭の植替え:美しい花を育てるための手順や注意点も解説
- 1. 胡蝶蘭の植替えとは
- 2. 植替えのタイミング
- 3. 植替えに必要な道具
- 4. 植替えの手順
- 5. 植替え後の水やりと管理
- 6. 胡蝶蘭の植替えによる効果
- 7. 胡蝶蘭の植替えを失敗しないための注意点
- 8. こんな時どうする?植替えに関するQ&A
- 9. 胡蝶蘭の植替えのまとめ
1.胡蝶蘭の植替えとは

胡蝶蘭の植替えとは、成長した胡蝶蘭の株を新しい鉢に移植する作業のことです。鉢植えの植物は根から水や栄養を吸収しますが、何年も鉢の中の状態が同じだと、育つ環境が悪くなってしまいます。
また、胡蝶蘭の植え込みに使われているバークチップ、水苔は時間が経つと古くなり、カビや雑菌が繁殖してしまい、胡蝶蘭の病気の原因になってしまいます。そのため、適度なタイミングで植え替えを行うことが必要です。
2.植替えのタイミング

胡蝶蘭の植え替えは、春に行うのがオススメです。日本の場合、夏の気候が胡蝶蘭の株が特に成長する時期になります。したがってその前の温かくなり始める春に植替えを行うと良いでしょう。
植替えを行うことは胡蝶蘭にストレスを与えてしまうので、2~3年に1度の頻度が良いでしょう。
ただし、根腐れを起こしてしまった株や状況の悪い株はすぐに植替えをしてください。
3.植替えに必要な道具

■ハサミ■カッター■割りばし■新聞紙■バーク■鉢底網■鉢
4.植替えの手順
①花を切る
今後、株が成長するように満開になった花を切り落とす必要があり、
花はもちろん新しいつぼみを持った芽も株根元からしっかり切ってください。
支柱を抜く際は返しがあるので胡蝶蘭を傷つけないように気を付けてください。
また、切った花は切り花として使えますので花瓶などに活けて飾ると良いでしょう。
②胡蝶蘭の株を鉢から取り出す。
胡蝶蘭を取り出す際には、しっかり根が張っており、絡まっていることもあるので取り出しづらいかもしれませんが、根が傷つかないように慎重に行いましょう。鉢に張り付いた根がある場合は、水をかけたり、指で少しずつ力を加えてはがしたり鉢を少し揺すったりして根をほぐします。
③根を剪定する
胡蝶蘭の根は傷んでいるものを取り除き、新しい根が生えるように切り詰めます。
ポットから株を取り出し、根と水苔の状態を確認する必要があります。良い根と悪い根、そして傷んだ水苔、傷んでいない水苔を確認してください。
腐っている悪い根は取り除いてください。また、水苔は黒いものが傷んでいる水苔なので取り除いてください。
ハサミで取り除く場合は根を切る前にハサミをあぶって消毒してください。
腐っている根は軽くつまむと引き抜けるので芯の部分をハサミで切り後しましょう。
④新しい鉢に植え替える
まずは鉢底に鉢底網を入れましょう。そうすることで
害虫が入りづらくなり、バークも鉢から落ちなくなります。
胡蝶蘭の一番下の葉の根元まで鉢に入るようにするのですが、鉢は胡蝶蘭の株本まで入る大きなサイズを選び鉢底のバークで高さを調整しましょう。
入れるときは根がなるべく傷めないようにバラバラになっている根を株に巻き付けるように丸め、入れてあげるといいでしょう。
⑤根を埋める
バークで根を埋めていきます。その際は元気な根を傷つけないように気を付けましょう。割りばしでバークをつついたり鉢のふちをたたくと根の隙間にもバークが入ります。さらにウォータースペースというお水を上げたときに、水が鉢から溢れず、溜められるようなスペースを考えて植えてあげてください。
5.植え替えの水やりと管理

植え替え後は元気な株であれば10~2週間、弱っている株であればバークが乾くまではお水を上げないようにしてください。また、バークを使用した場合は水捌けがかなり良いのでお水はたっぷりあげてください。その後は乾いたら(1週間~10日間に1度を目安に)お水をたっぷりあげてください。
置き場所は季節によりますが、植え替え時期の春にはレースのカーテン越しに光が入る場所に置いてください。
また、肥料に関して最初の1か月は必要ございません。その後は市販の洋蘭用の肥料のマニュアルに沿って、元気な株のみ10月まで、お水3回に対して肥料1回ほどの頻度で取り換えてあげてください。
6.胡蝶蘭の植え替えによる効果
胡蝶蘭の植え替えによる効果は、次のようなものがあります。
①根の健康維持
胡蝶蘭は根の部分が鉢からはみ出すことが多く、根詰まりになりやすい植物です。植え替えによって、傷んだ根を取り除き、新しい植込み材や鉢に植え替えることで、根の健康を維持できます。
②花付きの向上
胡蝶蘭は植え替えをすることで、栄養分をしっかりと吸収し、根の健康状態が良くなるため、花付きが向上する場合があります。
③病害虫の防止
古い植込み材や傷んだ根には、病原菌や害虫が付着しやすいため、植え替えによってこれらを取り除くことができます。また、新しい植込み材や鉢に植え替えることで、病害虫の発生を予防することができます。
④植物の成長促進
胡蝶蘭は、古い植込み材や老化した根によって、栄養分を吸収することができなくなるため、成長が停滞する場合があります。植え替えによって、新しい植込み材や鉢に植え替えることで、新しい根が出やすくなり栄養分を吸収する力が回復し、成長促進につながることがあります。
7.植え替えを失敗しないための注意点
胡蝶蘭の植え替えに失敗しないためには、以下の具体的な注意点や避けたい行動を押さえることが重要です。ご参考ください。
①適切なタイミングで行う
・花が終わった後や新芽が出てきた時期に行う。
・春が理想的。
②根の状態をしっかり確認する
・腐った根や傷んだ根は丁寧に取り除く。
・健康な根だけを残すことを意識する。
③清潔な道具と植込み材を使用
・ハサミや鉢は消毒し、感染リスクを減らす。
・通気性の良い専用土や排水性の高い植込み材を選ぶ。
④根の配置に注意
・根を傷つけないように優しく扱う。
・根が自然な状態になるように配置し、土をしっかり押さえる。
⑤適切な鉢の選択
・根が大きすぎない鉢を選ぶ。
・排水穴のある鉢を使用し、水はけを良くする。
⑥植え替え後の管理
・直射日光や強い風の当たらない場所に置く。
・水やりは植込み資材が乾いてから行う。
【避けたい行動】
①無理に植え替えを急ぐ
→ 根が傷つきやすく、ストレスになるため、適切なタイミングを待つ。
②植え込み資材や一般的な草花用の土を使う
→ 排水性や通気性が悪くなり、根腐れの原因に。
③根を無理に引き抜く、生きていない根を切り過ぎる。
→ 根を傷つけてしまい、回復に時間がかかる。
8. こんな時どうする?植え替えに関するQ&A
胡蝶蘭の植え替えに関する質問まとめ
Q. 胡蝶蘭の植え替え時期を逃してしまったら?
A. 胡蝶蘭の植え替え時期を逃してしまった場合でも、適切な対応を取ることで健康な状態を維持し、次のタイミングを待ちます。
花が終わった後や新芽が出てきたタイミングを見計らって、次の植え替えを計画します。
Q. 胡蝶蘭の植え替え時に根が絡まりすぎて取れない時はどうする?
A. 無理に引き剥がすと根や茎を傷つけてしまうため、慎重に対処することが大切です。以下の方法を参考にしてください。
【対処法】
1. 水に浸す:根を柔らかくするために、植え替え前に数時間から半日程度、ぬるま湯に浸すと良いです。これにより根が柔らかくなり、絡まりを解きやすくなります。
2. 根を少しずつほぐす:指やピンセットを使って、絡まった部分を優しくほぐします。無理に引っ張らず、少しずつ丁寧に行うことがポイントです。
Q. 胡蝶蘭の植え替え後に葉がしおれた場合はどうする?
A. 植物が一時的にストレスを感じている可能性がありますが、適切なケアを行うことで回復させることができます。
【対処法】
1. 落ち着いた環境に置く:直射日光や風の強い場所を避け、風通しが良く、明るい場所に置きます。過剰なストレスを避けることが大切です。
2. 水やりの調整:植え替え後は植込み材が乾いてから適度に水やりを行います。過湿にならないよう注意し、植込み材の表面が乾いたら軽く水を与えます。
植え替え後は植物が回復するまでに時間がかかることがあります。根や葉の様子を見ながら、焦らずにケアを続けてください。
もし症状が改善しない場合や、根の状態に異常が見られる場合はご相談ください。
9.胡蝶蘭の植え替えのまとめ

胡蝶蘭は他の花と比べ比較的長寿な花ではありますが、もちろんそれは健康に育つ環境があってこそです。美しい胡蝶蘭を長く楽しむためにも適度に植え替えをしっかり行いましょう。
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■園主紹介

有限会社黒臼洋蘭園 代表取締役社長 黒臼秀之
胡蝶蘭一筋40年以上。 世界屈指の胡蝶蘭専門家として、多数のメディア出演を果たす。 日本最大級の胡蝶蘭専門農園を経営しており、栽培している胡蝶蘭は農林水産大臣賞をはじめとする多数の表彰を受ける。 近年では胡蝶蘭文化の浸透の為、SNSを積極的に活用し、胡蝶蘭の栽培方法などを発信している。